MRに将来はない??アステラス早期退職募集事例から考える

MRの悲劇
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『MRに将来はない??』

この問いにアステラス製薬の早期退職募集事例から考えていきます。

でんでん
でんでん

こんにちは!『会社に縛られない生き方へ!MRのブログ』管理者のでんでんです。

この2年でMRの労働環境、営業方法は大きく変わりましたね。

早期退職、営業所閉鎖、リモート面談、リモート講演会などなど・・・。

最近、国内製薬大手のアステラス製薬が2021年度第3四半期決算短信を発表しました。

ここで、MRに関する数字が示され、さらにはMRの将来に関するコメントも出てきました。

今回はアステラス製薬が実施した早期退職募集結果と業界の状況についてみていきたいと思います。

MR市場の推移

MR市場の分析を行うにはMR白書を見るのが1番です。

MR白書2021年版より作成

MRの数は2011年の6,3875人から2020年の53,586人と16%減少

一方、管理職は2011年8,169人から2020年8,248人と僅かながら1%増加

MR数と管理職数全体としては14%減少となっています。

注意すべきは2021年3月時点の数字ということです。

2021年4月以降に早期退職募集をおこなった企業は多数あります。

アステラステラス製薬、ノバルティスファーマ、ヴィアトリス製薬、武田薬品工業など多数の会社が早期退職を実施しました。

それらの減少分が反映されていない数字でこの減少です。次回のMR白書2022年版ではさらにMR数減少が加速していることは間違いないでしょう

そしてもう一つ注目して頂きたいポイントがあります。

それは管理職の人数です。

ここ10年で数字が変わっていません。今まである程度のポジションにいる人々、つまり管理職の数自体は減らさなかったのかもしれません。しかし大きく状況は変化しました。

各社で営業所閉鎖が相次いでいます。

今やミィーティングはzoomなどを用いてリモートで行っています。

現地に張り付いてMRの管理を行う課長職や所長職が不要になりました

MRの活動のオンラインを中心になり、デジタルで一括してプロモーションをするスタイルに変化してきています。そうすると本社で一括してデータ解析することで、個々のMRのパフォーマンスも数値化することが可能になります。これによって何が起こるかというとMRを管理する管理職が不要(少なくていい)となります。

今までは管理職数の減少はありませんでしたが、次回2022年版MR白書では管理職の人数が減少に転換すると予測しています

アステラス製薬の早期退職募集

2021年6月3日、アステラス製薬は「早期退職優遇制度」の導入を発表しました。

想定人数は450人としていましたが、650人の応募があったことが決算発表時に公開されました。

650人のうち500人が営業部門であり、営業部門(MR)でした。

  • 将来性が見出せないため離職を決意
  • 早期退職による優遇制度が魅力的
  • 営業部門を積極的に減らす会社の方針

何が影響をしたか確実な理由を知る余地はありませんが、岡村副社長は人員の最適化について

『これで終わるつもりはない』

このように述べています。

何が影響をしたか確実な理由を知る余地はありませんが、岡村副社長は人員の最適化について

『これで終わるつもりはない』

まだまだ人員最適化(人事異動、組織変革、人員整理)を推進していく意思表示と理解できます。

言い換えれば、もっとMRを減らすとも言えるでしょう。

今回650人の早期退職募集に変わる費用を158億円計上しています。158億円をかけても人員整理することが、企業経営にとってメリットがあるとの経営判断をしたということです。

アステラス製薬は2018年当時MR数2,400人と武田薬品よりも多く国内最大のMR数を誇っていました

それが2020年には1,700人に。そして今回の早期退職募集の結果、1,200人になったと発表されました。そして、その減少はまだとまることなく、1,000人を下回ることが想定されます。

今回早期退職に募集した500名の方々は懸命な判断をしたと言えるかもしれません。

なぜなら、アステラス製薬はMRにかかるコストを下げたい意思が客観的に見えるからです。2021年12月1日、アステラス製薬は今まで高い水準であったMRの給与体系を見直すとの発表をしました。

端的に言うとMRの給料を下げると言うことです。

ここまでMRに対して逆風があることは真摯に受け止めなければなりません。

MRは営業活動によって利益をもたらしてくれるので、企業にとってこれまでは資産でした。

残念ながら、もはやMR負債化してしまったと言うことでしょう。

特に多くのMRを抱えていた大手企業にとって、MRを雇って得られる利益が給与(販管費(固定費))に見合わないため、156億もの大金を使ってでも、早く切りたい存在になってしまったのでしょう。

アステラス製薬は組織体制を改変

2022年1月14日、アステラス製薬は全国に119あった営業所を廃止し、都道府県に1箇所のみ「コミュニケーションオフィス」を設置すると発表しました。

さらに本社に「コマーシャルエクセレンス部」「デジタルコミュニケーション部」を新設。オンラインMRはデジタルコミュニケーション部の管轄となる。

MRの営業組織は9営業部へ

  • 固形がん
  • 血液がん
  • 関節リウマチ
  • スペシャリティ(整形、腎、泌尿器、糖尿病、循環器、消化器等)

スペシャリティというワードはかっこいいですが、実際のところが気になります。これは今まででいうプライマリーですね。名前をスペシャリティとしてカモフラージュしていますが、ここに所属するとかなり厳しいのではないか・・・。

次に早期退職を募集することになった場合、明らかにこのスペシャリティがターゲットになりそうですね。

営業所閉鎖はアステラスだけではない

MRの営業所閉鎖はアステラス製薬だけではありません。

ノバルティス、バイエル、日本イーライリリー、アストラゼネカなどはすでに営業所廃止を発表しています。

MRの早期退職も営業所廃止も共通があります。

それは営業に関わる固定費の圧縮に各社が舵を切っているということです。特にかつてSOV(シェアオブボイス)でプロモーションにしていた系統薬剤は、デジタルシフトして固定費をかけずにプロモーションしていく流れになります。

まとめ

今回のアステラス製薬の動きはアステラス製薬だけの問題ではありませんね。業界全体が大きな変革期にあることは間違いありません。

外資系が1番最初に組織体制の変革を始めました。その次の国内大手、武田、アステラスが本格的に動き始めました。

次は国内中堅企業が本格的に動き始めるでしょう。

2022年春頃から国内中堅製薬会社の組織変革のニュースが多く聞こえてくるようになると予測しています。

早めに違う部署に異動するか、転職する、新しいスキルを身につける必要がありますね。

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