まさか!日本イーライリリーが早期退職募集!

MRの悲劇
スポンサーリンク

日本イーライリリーの早期退職募集概要

まずは今回日本イーライリリー社が募集する早期退職の募集概要を確認します。

【早期退職募集概要】

  1. 対  象:35歳以上
  2. 職  種:営業部門全社員(MR 180人エリアマネージャー40人
  3. 募集期間:9月末まで(10月上旬までに決定)
  4. 退  社:2020年12月末

勤続年数に応じて24ヶ月から36ヶ月の退職金の積み増しがあると言われています。

加えて、有給休暇の買取も行われるとのことです。

営業組織の体制は?

日本イーライリリーは4つの事業本部で構成されています。

4つの事業部とは

  1. 『筋骨格・中枢神経』
  2. 『オンコロジー』
  3. 『糖尿病・成長ホルモン』
  4. 『自己免疫』

です。

日本イーライリリーは新薬上市および適応拡大を毎年行っていたこともあり、早期退職を募るのは今回が初です。

それだけに今回のリリーが早期退職を募集するというニュースは衝撃です。

私見!日本イーライリリーの印象

MRであれば一度は日本イーライリリーから

転職の声がけを頂いたことがあるのではないでしょうか?

わたしのイメージでは

リリーは常に求人募集をしている会社

です。

わたしは各種の領域を経験してきましたので、自己免疫以外の全ての領域のMRや課長さんから転職のお誘いを頂きました。

お声がけ頂くのはしっかり理由があって、1MR入社させるとインセンティブが数十万円もらえる時期があったことにも由来するかもしれません。

数年前、日本イーライリリーのMRと話をするとかなりの確率でコントラクト又は他業種からの転職MRでした。それほどMRの人数を欲していたので、経験があるMRを入社させた方がリーズナブルですので、MRにリクルート活動をさせていたのだとおもいます。

その日本イーライリリーが早期退職を募集するとは、本当にMR削減が加速していると実感せざるを得ません

早期退職募集の背景

2017年、イーライリリーは3,500人の解雇を発表しました。

これはグローバル従業員の約8%に相当する人数です。理由は事業業理科とコスト削減とされていますが、背景には特許、開発の失敗など製品に関係する理由が指摘されました。

今回日本で日本イーライリリーが早期退職を募集するに至ったわけですが、その背景にも特許と開発製品に関係があります。

『筋骨格・中枢神経』事業部の屋台骨であった

骨粗しょう症治療剤「フォルテオ」そして「エビスタ」、

抗精神薬「ジプレキサ」が特許切れによる大幅な売り上げダウン過剰人員が要因として指摘されています。

『筋骨格・中枢神経』事業部で特許が残っているサインバルタは2021年に特許切れが迫っています。

開発品の状況は?

『製品構成の変化により顧客とのコミュニケーション手段が以前と違ってくる』と広報がコメントしています。

実際に日本イーライリリーのホームページより『開発中の新薬リスト』を確認します。

No治験薬記号(一般名)および剤型予定される効能又は効果 対象疾患名および症状名開発ステージ
1LY275585 (一般名:インスリンリスプロ[遺伝子組換え]) / 新規の超速効型インスリンリスプロ 皮下注製剤インスリン療法が適応となる糖尿病承認
2LY900018 (一般名:グルカゴン)点鼻粉末剤低血糖時の救急処置承認
3LY2951742 (一般名: galcanezumab) 皮下注製剤片頭痛発作の予防開発後期
4LY3009104 (一般名: バリシチニブ) 経口投与製剤アトピー性皮膚炎開発後期
5LY2439821 (一般名: イキセキズマブ) 皮下注製剤体軸性脊椎関節炎開発後期
6LY3009806 (一般名: ラムシルマブ[遺伝子組換え]) 静注製剤非小細胞肺癌開発後期
7LY3012207 (一般名: olaratumab) 静注製剤軟部肉腫開発後期
8LY3009104 (一般名: バリシチニブ) 経口投与製剤全身性エリテマトーデス開発後期
9LY3009104 (一般名: バリシチニブ) 経口投与製剤若年性特発性関節炎開発後期
10LY3009104 (一般名: バリシチニブ) 経口投与製剤円形脱毛症開発後期
11LY3074828 (一般名: mirikizumab) 静注製剤, 皮下注製剤潰瘍性大腸炎開発後期
12LY3074828 (一般名: mirikizumab) 皮下注製剤尋常性乾癬開発後期
13LY3074828 (一般名: mirikizumab) 静注製剤, 皮下注製剤クローン病開発後期
14LY450190 (一般名: タダラフィル) 経口投与製剤肺動脈高血圧症(小児用量)開発後期
15LY3298176 (一般名: tirzepatide) 皮下注製剤2型糖尿病開発後期
16LY3298176 (一般名: tirzepatide) 皮下注製剤肥満又は併存疾患を有する過体重開発後期
17LY2835219 (一般名: アベマシクリブ) 経口投与製剤乳癌における術後補助療法開発後期
18LY2062430 (一般名: ソラネズマブ) 静注製剤プレクリニカル期アルツハイマー病開発後期
19LY3527723 (一般名: selpercatinib) 経口投与製剤RET融合遺伝子陽性非小細胞肺癌開発後期
20LY3527723 (一般名: selpercatinib) 経口投与製剤RET遺伝子変異陽性甲状腺髄様癌開発後期
21LY573144 (一般名: lasmiditan) 経口投与製剤片頭痛開発中期
22LY3298176 (一般名: tirzepatide) 皮下注製剤非アルコール性脂肪肝炎開発中期
23LY3303560 (一般名: zagotenemab) 静注製剤早期症候性アルツハイマー病開発中期
24LY3375880 (一般名: 未定) 皮下注製剤アトピー性皮膚炎開発中期
25LY3002813 (一般名: donanemab) 静注製剤アルツハイマー病開発中期
26LY3074828 (一般名: mirikizumab) 静注製剤, 皮下注製剤潰瘍性大腸炎(小児用量)開発中期
27LY3009104 (一般名: バリシチニブ) 経口投与製剤アトピー性皮膚炎(小児用量)開発中期
2020年3月31日現在 日本イーライリリーホームページより

日本イーライリリーは『筋骨格・中枢神経』、『糖尿病・成長ホルモン』のメーカーとしてのパワーがあり、アリムタ、サイラムザでオンコロジーに勢力を拡大させた印象があります。

その中でも売上貢献が高い、『筋骨格・中枢神経』の特許切れと開発パイプラインから考えて、広報がコメントされている『製品構成の変化』についてうなずけるポイントです。

その反面、4事業部制を維持していくとのことですので、2018年に開発が中止されたアルツハイマー治療薬の影響もここに来て顕在化してきたと捉えることもできます。

『開発中新薬リスト』の対象疾患を見てみても専門性が必要とされる領域が増えていることは間違いないでしょう。

日本イーライリリーの早期退職から言えること

武田薬品の早期退職は大きな衝撃を日本の製薬業界に与えました。

MR削減必至!とうとう動いた武田薬品

今回の日本イーライリリーの早期退職募集も同等レベルで大きなインパクトです。なぜなら、リリーは常に求人している企業だったからです。

前述の様に開発パイプラインがないわけではないです。

それにも関わらずなぜ早期退職を募るのか?

やはりここに新型コロナウイルスが影響していると言わざるを得ません。

テレワーク、活動自粛、訪問自粛が続く中でMRはコストに見合うだけの仕事をしていないと判断したことが早期退職を決断し、場合によっては早期退職で募る人数を拡大させているでしょう。

これから今まで早期退職を行なっていなかった内資系製薬会社も早期退職を発表することになるでしょう。

今ならまで製薬会社の求人も僅かながらあるので、

早く転職を決断するか?

それとも社内で生き残るために

社内の人脈強化を行うか?

ビジネスのスキルを上げて

会社に残っても、他の製薬会社に移っても、

別畑の他業界へ転職しても通じる様なスキルを勉強する

早期決断をして、それに向けた努力を積み上げていくことに時間を作ることが賢明なのかもしれませんね。


JACリクルートメント

コメント