医学と科学の違い!医療が難しい理由

MRの仕事
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でんでん
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こんにちは!『会社に縛られない生き方へ!MRのブログ』管理者のでんでんです。

医療を担う医療従事者の仕事は本当に大変で難しい場面の連続であり尊敬です。

今回は言葉の定義の話にはなります。医学、科学、医療の3つの言葉の意味を混同すると大きな勘違いをしてしまいます。

医学と科学は学問。医療は学問ではありません。

科学の答えは一。医療の答えは一つではない

10Kg痩せた

これは凄いのか?凄くないのか?

いいのか?悪いのか?

それはケスバイケースです。

医学と科学の違い、そして医療とは

医学とは:生体(人体)の構造や機能、疾病について研究し、疾病を診断・治療・予防する方法を開発する学問

科学とは:自然や人間、社会などさまざまな事象に対して、一定の方法や目的をもって、体系的に研究することであり、それによって得られた知識、学問。

医療とは:診断、医療行為のみならず、医療機関で行う全ての業務、それは病院運営及び経営を含む

憲法の様なこの一文が正解というものはありません。医学、科学は学問で、医療は学問でない点は押さえて置く必要があります。

科学の答えは一つですが、医療の答えは一つでないところが難しいところです。

前述の10kg痩せたケースです。

男性で身長160cm 100kgの人が10kg痩せた場合と、身長160cm 体重50kgの人が10kg痩せたのでは意味合いが異なります。前者は称賛されるでしょうが、後者は心配されるでしょう。

減少した体重を比率に直して考えた場合、前者は10%、後者は20%も減少しています。単純な素数が同じでも比率にするとインパクトは違います。どの切り口で見ればよいかも難しいところです。仮に比率を同じ10%にしたとしても後者の人は5kg痩せて160cm 45kgになると変わらず心配されるケースが多いんだろうと推察されます。

素数、比率も大切であり、それに加えてベースライン即ち基準値も考慮する必要があり、人それぞれ正解が異なりますし、その正解に””があるのが人体、医療の難しいところです。

尿酸値を例にとりますと、7.0mg/dLまでは基準範囲内とされていますが、9.0mg/dLを超えても高尿酸結晶を発症しない人もいれば、6.0mg/dLでも高尿酸結晶を発症する人もいます。どこを目標にするかの数値はあくまで目安ということです。1+1=2みたいに正解がわかればいいのですが・・・。

エビデンスと医療

新型コロナウイルスの影響で、テレビから”エビデンス”というワードをよく耳にする様になりました。個人的には医療業界で日々使うワードですので違和感がありませんが、私の父親は聞きなれない言葉に戸惑っていました。

エビデンスは医療業界ではEBMのワードで使用されてきました。EBMは “Evidence-based Medicine“の略で、「科学的根拠(エビデンス)に基づいた医療」の重要性を1991年カナダの研究者が提唱した概念です。医療ではエビデンス、臨床家の専門性と経験、患者の希望や環境要素を考慮して最善な医療を提供することを目標としています。そのため根拠論文だけを基にして医療が決定されるのではなく、臨床家の専門と経験、そして患者の意思を組み合わせて、”最も良いと思われる”医療を進めることがEBMの目標とされています。

EBMの観点からは研究論文がない(少ない)または臨床経験がない(少ない)分野に関しては非常に判断が難しいということになります。今回の新型コロナウイルスに対する対応はエビデンスと経験の両方がない中で奮闘して頂いている医療従事者には本当に感謝です。

エビデンス=正しい ではない!

わたしの仕事は医師にエビデンスを基に薬剤の情報提供をするMRです。仕事をしている中でエビデンス(臨床試験データ)を医師に押し付ける様なPRをしているMRを目にします。医薬品は統計学的に有意差があり、優れた薬剤だとしても100%効果があり、100%副作用がないなんて事はあり得ません。副作用の発現率が低く、程度も軽いことをPRするMRも多いですが、頻度と程度が低くても副作用が出てしまった患者は辛い思いをすることはもっと強く認識すべきでしょう。そして、エビデンスだけで医療が決定されるのではなく、臨床専門家と患者の意思決定の軸となる指標を扱っており、疾患の全体像を把握する努力を必要ではないかと思います。

2014年から5年ぶり改訂された「高血圧治療ガイドライン2019」の血圧降圧目標は、75歳未満の一般成人では、130/80mmHg未満(診察室血圧)、125/75mmHg未満(家庭血圧)とそれぞれ10mmHgずつ引き下げられた。それまでの常識(基準値)が変更になったということです。人の体はそれぞれ違いますので難しいところです。医療はベースになる臨床応用されるエビデンスが変化する難しい領域です。

俺たちはデータを診ているんじゃない、患者を診ているんだ!

と言う医師に会ったことがあります。まさにその通りですね。この医師は本当に素晴らしく多くのことを学ばせて頂きました。

一方で一見同じ様なことを言っている様に見えますが・・・

俺たちはデータやガイドラインに縛られるんじゃない!

といいPivotalなエビデンスすら理解していない不勉強な医師もいるのも事実だと感じています。エビデンスはエビデンス、臨床家の専門性と経験、患者の希望や環境要素の3つうち、完璧ではないにしてもRBMの重要な要素だと思います。

最後に

ワイドショーを観ていて『エビデンスがあるのか』と言うコメンテーターを見て違和感を感じます。専門用語やカタカナ語を使っていたらそれっぽく聞こえるからあえて使っているのでしょうか?エビデンス以外にもクラスター、ロックダウンなど・・・。

わたしはMRとして医師と医療の話を深く行います。医療の答えは一つではないことをしっかり理解して置く必要があります。医療の正解は変化していきます。この点が科学の違いです。ですので、医師をはじめとした医療従事者や我々MRは日々勉強し、最新の情報にup dateしし続けなければなりません。

どんなに勉強しても最終的な一つの答えに到達できないのが医療の難しいところです。

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